流木(りゅうぼく)

まだ、私がヒプノチャネリングを始めたばかりのころ、ある男性と出会いました。
彼は、40歳くらいだったと思います。
幼少期から苦労されていて、まだ若くして、がんになりました。

彼とは、何度かセッションをする機会がありました。
最期に会うことはできなかったけれど、メールでやり取りしていくうちに、
彼の心が変化していくのを感じていました。

私自身、30代後半から線維筋痛症を発症して、一時は寝たきりの生活を送っていたので、
その時に、生きる意味を見失ってしまったこともあります。

この物語は、彼の物語であり、私の物語です。(Q,誘導者、質問者 A,マスター)

A.海が見えます・・・。夜の海です。
 今わたしは、海の上で、ゆらゆら揺れている、波にゆれています。

Q.どこの海ですか?

A.…わかりません、どこの海なのかわからない、けれど、空には星が輝いて、
  水面は揺れている

Q.あなたはそこで何をしていますか?

A.私は・・・。流木かもしれない・・・。

Q.波はどれくらいあるのですか?

A.荒れてはいません。天気がいいし、空には星がたくさん輝いて見えます。
 真っ暗な海だけれど・・・。

Q.これから、どうしようとしているのでしょう?

A.この大きな海の中では、どうすることもできない。
 海・・・。波・・・。揺れている自分がいる。

Q.どこか行きたいところはないのですか?

A.この大きな海では、私はどうすることもできない。
 じたばたすることはないです。
 この大きな海の中で、私は身を任せて、波の上にいるのです。
 波のままに・・・。
 私たちは、この大きな海の中で、どうすることもないです。
 波のままに・・・。
 なぜなら、こんなに大きな海の中で、私に何ができるのだろうか。
 いいえ、何もできません。
 波のままに・・・。
 ただ、身を任せるだけです。
 それが一番、楽なのです。
 明るくなって、朝になって、空には雲が・・・。
 ああ、だけど、流木の私にも何かできることがあるような気がしてきました。

Q.それはなんでしょうか?

A.わからない・・・。
 そんな気がするけれど、今は何ができるかわからない。
 けれど、そんな私も、何かの役にたっているような気がするのです。
 海の中にいる小さな生物とかの役にたっているような気がします。
『私という存在』が、そこにいるだけで、誰かの役にたっている気がするのです。
 ただ、ずっと流れているだけの私だけれど。どこに向かうのかさえ分からないけれど。

 私たちは、この大宇宙の中で、大きな海の中にある『流木』と同じです。
 私たちはこの大宇宙の中で、みな一緒です。
 けれども、何もしていなくとも、きっと何かの役にたっているのです。
 それが、自然なのです。
 あなたの存在が、誰かの役にたっている。流木でも、役に立っているのです。
 小さな木のかけらでも、役にたっているのです。
 流れに任せて・・・。それだけで十分です。
 存在だけで十分です。
 自分には、何もできないとか、そんなこと思うことはないです。
 そこにいるだけで、それでいいのです。
 流木は気が付かないかもしれないけれど、役に立っているのです。

 何もすることができないけれど。
 いいえ、何かをしているのです。
 流れに乗っているだけで、何かをしているということなのです。
 なぜなら、この大きな海で、何をするというのですか?
 私たちは、この宇宙のなかで、その流木と同じです。

 存在だけで、それだけで十分なのです・・・。

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