『人生の中で忘れられない出会い』
いくつかの忘れられない出会いがあります。
私にとってのそれは、いつも『死』がかかわっていました。
一つは、中学1年生の時のクラスメイト。
入学式から一度も、顔を見たことのないその男子のクラスメイトは、白血病で入院していました。
彼が旅立つ数週間前に、私は担任教師に連れられてひとり、彼と面会していました。
当時の私は13歳。兄が非行に走っていたこともあって、私も周囲から半強制的にその道にひきづりこまれていました。
素直になりたいのに、強がっていないといけない。
そこから抜け出して自分らしくいたい。担任教師はそんな私を察していたのだと思います。
ある土曜日の午後、先生が私だけを誘い出し、お好み焼き屋さんに連れて行きました。
そうして、私に『連れていきたいところがある。』と言いました。
それが、クラスメイトの入院していた病院でした。
病室に入ると、そこは無菌室になっていて、透明の何かに仕切られていて、彼と話すには
壁の受話器に話しかけます。
私は、その日始めて、クラスメイトの男の子に会えました。
けれど、初めて会うクラスメイトに照れくさくて、固まった表情で部屋に入りました。
たぶん、抗がん剤をされていたので、毛髪はすべて抜け落ちていました。
そんな彼が、初めて出会った私に、満面の笑みを見せたのです。
私が彼に受話器で、何を伝えたか、彼が私に何を言ったのか、今は何も思い出すことはできません。
けれど、彼の笑顔はずっと残っています。
あまりに美しかったからです。
何とも言えず、綺麗だったのです。
今になってみるとわかるのですが、その時に彼の魂が光り輝いているのを私は見たのです。
しばらくしてホームルームでそのクラスメイトが亡くなったことを知らされました。
私は、なんとも言えない感情をもちました。
そして、私はもとの自分に戻りました。
それまで仲良くしていた不良グループと縁を切って、小学校時代から仲の良かった
親友とまたつながるようになりました。